前回のブログ記事に戴いたコメントの内容が面白いなぁと思ったので私もその句ひとつだけを見たものではないけれど、少しばかり解釈を書いてみようかなぁと思います。
しれば迷ひ しなければ迷はぬ 恋の道
これも『豊玉発句集』の中で一、二を争う有名な句ですね。
本人も恥ずかしかったのか丸で囲んでボツ作品としてしまっています。
(丸で囲むという表記は「傑作」ではなく「ボツ」という意味合いです)
この句、くずし字をそのまま活字化してみることで魅力が増すと思っています。
志礼ハ迷比 志奈希連ハ迷者努 恋の道
「し」という文字に「志」のくずし字があてがわれていることが私の中での最大のポイントです。
この字を使われている句は『豊玉発句集』の中ではもう2句あります。
しれば迷ひ しらねば迷ふ 法の道
志礼者迷比 志ら禰者迷ふ 法の道
願ふこと あるかもしらず 火取虫
願ふこと ある可毛志ら須 火取虫
いずれも「知る」という意味合いの部分に使用されているのは分かるでしょうか?
私はこれを見て、彼の「知」への前向きな姿勢というか、貪欲さというか…文字通り「志」の様なものを感じました。
「しれば~恋の道」にもし続きがあるとしたら、迷うと分かっていても知りたいという意味合いの言葉が来るだろうし、「しれば~法の道」ではどちらにせよ迷うのなら知りたいと土方さんなら言うのだろうなぁと思います。
因みに「知」という意味でそのままの漢字を使われている句はひとつです。
朝雪の 盛りを(も)知らす 伝馬町
朝雪乃 盛りを(も)知ら須 伝馬町
上に書いた他の句と「知」の意味合いが少し違う気がしませんか?
大きく違うのは詠んだ本人の興味の有無だと思います。
「し」を表す文字は沢山この発句集の中に出てきますが、他は「し」で表記されています。
「し」を「志」で書くことが土方さんの癖ではなく、意識して書いたものだとしたら私の解釈も大方間違いではないのかも…?なんて思えてきます。
自分の解釈とはいえ、彼を見習って「知る」ということ、「知識」に対して貪欲でありたい。飛躍するけれど、私にとって学ぶことに前向きになれる句です。
※句の下側に書いてある漢字表記(釈文)の方に関しては私の解読の為、参考までにお願いします。